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今回は不慮の事故でバラバラに砕けたアンティーク譜面台の修復事例をご紹介します。

 

教会で聖歌隊が使う譜面台として使われていたアイテムですが、「貧血」という思いがけないアクシデントによって下敷きになってしまったそうです。美しく繊細な装飾はフレームと共に大破、台座の足元も三本の支えの内一本が根こそぎ折れてしまっています。

 

〈ANTIQUE Music Stand RESTORATION WORK〉

アンティークローズウッド譜面台の修復

min

――BEFORE 美しい木目が特徴のローズウッド、今ではその希少性から大変高価な木材です。そんなローズウッド材をふんだんに使い作られた譜面台。特に注目すべきは1本の材から螺旋状に掘り出された支柱部分、究極の工芸芸術です。

幸いなことに重要なパーツは紛失する事なく工房まで運び入れてもらえました。今回の修復では既存のアンティークが持つパティナを保ちつつバラバラになったパーツを完全に復元していきます。

 

 

一番の問題は譜面を置く板面の装飾が砕け散り接合部が複雑なパズルになっている事。劣化などの木部の亀裂や破損は膨張収縮などの自然現象からなる事が多く、木の繊維にそったダメージが殆どですが今回の様に外部からの力で壊れてしまった物は木組織そのものにダメージが伝わっているため単純な接着では微妙なズレが生じてしまいます。

 

 

接合する前の小口処理が最も重要で仕上がりのクオリティを左右します。

 

 

芸術性ある美しい装飾なのですが、繊細なゆえにとにかく脆い。軽く力を入れるだけで、ピシッといってしまいます。

 

しかも、時代が古いだけに以前にも修復された跡があり、指でなぞると細かなヒビや接合面のズレに気づいてしまいます。

気づいてしまうと、直したくなるのが職人の性。後になってこの下手な修復跡を指摘されたくありませんし。破損部分とは別に細かくチェックして以前の修復跡も含め全体を調整しなおします。

  

表面の0.1mmくらいのズレは指腹で確かめるまでもなく、目に見えて段差ができているのが分かってしまうので横からスポットライトを当て、影を頼りにひとつづつチェックします。

指腹で微妙な起伏をひろい整面しながらバラバラなパーツを慎重に膠で接着していきます。

微調整を重ねながら接合し、完全にフラットな状態にしたのち、染色作業にはいります。ローズウッドはもともと色が濃い木材ですので染色はほとんど必要がないと思っていましたが、2面ある板面の内、1面の板面フレームだけがローズウッドではない類似材が使われていました。理由はわかりませんが以前に修復された跡があったことから想像すると、当時壊れたのは板面のフレーム部分でその部位だけ作りなおした可能性もあります。とにかく、板面フレームをローズウッドの色調にあわせ染色していきます。

 

染色後、フレンチポリッシュにて塗装を施します。接合箇所が全く分からないように細かく色調整して、仕上げます。

――導管が埋まるまでフレンチポリッシュを施せば板面は完成です。一番の問題点であった接合部が完全にわからなくなり、違和感ないのはもちろんローズウッド独特の風合いとあいまってアンティークの色艶そのものに修復されました。

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続いて支柱と接地する、台座の修復に移ります。

支柱台に乗る丸い飾り物なのですが、ぱっくりと割れています。残念な事に割れた破片部分は無く、破損部分と同じ形の破片を作るところから始めます。徐々に直っていく様子をご覧ください。

 

 

ORIGINAL

 

写真上部の小さな破損と、右側に大きな欠損があります。

STEP1

 

破損部の形に合う様に木材を加工し当てがった状態。

現状ではまだ接合していません。

写真上部の破損個所にはウッドパテで対応します。

STEP2

 

小さな破損部のパテを整面し、大きな破片と本体を接着し、わずかな隙間をウッドパテで埋め、接地面を平らにならしていきます。

 

FINISH

 

下準備が終われば、染色せずに板面同様フレンチポリッシュで磨き上げていきます。

 

 

 

 

――破損部の見分けは全くつきません。ローズウッドが持つ本来の色味はこれほど濃いものかと驚くほどに美しく仕上がりました。続いて台座も同様に修復していきます。

台座そのものにはダメージが少なく、若干の破損個所もご覧のとおり、破損個所がわからないレベルに修復されています。

シェラックニスをつかったフレンチポリッシュという技法は当時も今も同じ材料で仕上げる事ができるので、今見ている艶や色合いは昔のそれと全く変わりのないものです。時を越えても生き続ける、独特の味わいです。

最後に足の付け根の接合です。

台座の裏からスクリューで止めてあったようですが、見事にへし折られていました。

左の写真は台座を裏返して撮影しています。右の写真にある足のパーツの根元からスクリューごと折れてしまっている状態です。

欠損した木部を木片とパテで穴埋めし、強度確保の為に接着剤で完全に固定します。台座の接地面を整面して起伏のない状態に戻してから足をあてがい、スクリューで接合させます。

 

――AFTER 塗装工程までの作業が終わり、最終仕上げにワイヤーウールで表面を研磨し天然ワックスで磨き上げれば

ようやくアンティークローズウッド譜面台の修復が完成。

美しい神聖な教会に凛と立つ姿が良く似合うアンティーク譜面台の復活です。バラバラなパズルの様な板面、大きく欠損していた円形装飾、根こそぎへし折られた脚、全てが美しい本来の姿に蘇りました。機能面では板面の高さ調整から、開閉調節、首振り動作もとりもどし、これからもふたりの門出を祝う最高の舞台を演出してくれる事でしょう。

 

――リストリーでは名古屋市内だけでなく近郊地域への出張お見積りを致しております。お気軽にお問い合わせ下さい。

※出張お見積対応エリア名古屋市内から日進市・長久手市・春日井市・一宮市・みよし市・北名古屋市など名古屋市近郊の一部の地域へは無料で出張見積可能です。

 

詳しくはお電話にてお尋ねください。 リストリーアンティーク 052-734-6968

052-734-6968

アンティーク譜面台修復

依頼地域:愛知県名古屋市

作業内容:木部修復/塗装修復

作業期間:15日(乾燥時間含む)

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